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離婚した時の財産分与にかかる税金と節税方法

財産分与(ざいさんぶんよ)とは、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を貢献度に応じて分配することを言います。

 

離婚時には、離婚後の相手の生活保障や二人で築き上げた財産の精算のため、この財産分与を行います。離婚時の財産分与にはさまざま税金がかかってくることをご存知でしょうか?

 

原則として財産を与える側に税金がかかってきますが、受け取る側にはあまり税金はかかってこないようになっています。しかし、例外もありますので、受け取る側も正しい財産分与の税金に関する基礎知識を持っておきましょう。

 

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1.財産分与には「譲渡所得税」がかかる

 

一般的に譲渡所得税は、財産を売却して得た資金から購入時の費用を引いて税金を計算します。

 

しかし、財産分与では無償で財産を譲り渡すことになるため、なぜ譲渡所得税がかかるのか不思議に思う方もいるでしょう。

 

これは、「みなし譲渡所得」と言い、無償譲渡のしくみを上手く利用して不正に租税を回避することを防ぐため、課税の公平を目的として制定されたものです。

 

財産分与では以下のようなものが課税対象となります。

 

・土地や建物など不動産

・株式など有価証券

・高額な美術品

・ゴルフ会員権など

 

金銭で支払う場合、基本的に税金はかからないのですが、上記の財産等の金銭以外の場合は「譲渡所得税」が課せられます。

 

2.財産分与で財産を渡す側にかかる税金

 

2.1 財産分与をした場合にかかる譲渡所得税

 

土地や建物などの不動産を財産分与した場合には「譲渡所得税」がかかります。また株式などを譲渡した場合も同様です。これらは譲渡により利益が発生した場合には、税金を計算し税金を納めなければなりません。

 

不動産の財産分与の場合では、譲渡時の不動産の時価が購入した時よりも高い場合に税金を支払わなければなりません。

 

株式を分与した場合も同様に譲渡時の時価から取得費用や譲渡費用等を差し引いて計算します。

 

また、譲渡所得税の税率は所有期間が5年より長いか短いかによっても変わってきます。またマイホームの場合は10年を超えるとさらに軽減税率の特例を利用できます。

 

  • 短期譲渡取得の場合(譲渡した年の1月1日から所有期間が5年以内のもの)

   税率39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

 

  • 長期譲渡取得の場合(譲渡した年の1月1日から所有期間が5年を超えるもの)

   税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

 

  • 軽減税率の特例の場合(譲渡した年の1月1日から所有期間が10年を超えるもの)

   税率14.21%(所得税10.21%、住民税4%)

 

住んでいた家を譲渡する際には、所有期間に応じて税率が変わってきますので、節税を考えるのであれば、5年や10年を境に離婚をできるだけ長く引き伸ばした方がいいでしょう。

 

2.2 特例を使えば3000万円以下なら譲渡所得税はかからない

 

たとえば、夫名義で購入したマンションの金額が2,800万円で、妻に譲渡する際に3,200万円の価値があれば、差額の400万円が課税対象になります。

 

ただし、自宅として住んでいる場合は、3,000万円までの特別控除の特例が受けられるので、差額が400万円であれば課税されることはありません。つまり、自宅を離婚する相手に譲渡する場合は、3,000万円以上値上がりしていなければ、税金はかかりません。

 

ただし、「居住用財産の3000万円特別控除」は夫婦間では適用できないので、離婚が成立した日以後に譲渡しなければなりません。

 

3.受け取る側は原則的に税金がかからない

 

財産分与によって財産を受け取っても、受け取る側は原則として税金はかからないとされています。

 

しかし、場合によっては財産を受け取る側も「贈与税」「不動産取得税」がかかる場合があります。

 

3.1 贈与税がかかる場合

 

離婚に伴う財産分与の扱いは、二人で築き上げた財産の精算という意味合いがあり、言い換えれば「もともと自分の持分であったもの」とみなされる部分について、贈与税はかからないとされています。

 

しかし、分与された財産が明らかに多すぎると認められる場合、及び「不正な税金逃れの可能性がある」と判断されるような場合には、課税対象になる可能性があります。

 

3.2 不動産所得税がかかる場合

 

本来、夫婦それぞれが持つべき財産の清算であり、新たに財産を取得したわけではないという考え方から基本的には課税対象にはなりません

 

ただし、離婚の際の不動産譲渡が夫婦財産の精算という意味合いではなく、たとえば、慰謝料代わりに不動産を譲渡したような場合には不動産取得税が課される可能性があります

 

3.3その他不動産にかかる税金

 

  • 登録免許税

   不動産を登記するための税金で、固定資産税評価額の2%の登録免許税がかかります。

  • 固定資産税

   固定資産評価額× 1.4%(標準税率)がかかります。

 

 

 

4.財産分与時の節税4つの対策

 

上記でも述べましたが、財産分与に関わる節税対策として、

 

4.1金銭による譲渡を行う

 

金銭以外の場合は「譲渡所得税」「登録免許税」「固定資産税」などがかかってきます。

 

金銭で支払う場合において税金はかかりませんので、節税を考えるのであれば、できるだけ金銭でのやりとりをしましょう。

 

4.2 3,000万円特別控除を受ける

 

居住用財産を売った場合、最高で3,000万円までは税金が課せられません。これを「居住用財産の3,000万円特別控除」と言います。ただし、この特別控除は夫婦間や親子間での譲渡の場合には適用されないのです。

 

したがって、離婚が成立したあと(夫婦でなくなったあと)に財産分与を行えば、「居住用財産の3,000万円特別控除」を適用することができます。

 

 

4.3 軽減税率の特例を受ける

 

不動産を売却した年の1月1日現在で、その建物の所有期間が10年以上の場合は3,000万円特別控除を適用した残りの額に対して、所得税10.21%住民税4%に税率が軽減されます。

 

 

4.4配偶者控除贈与税の特例)を受ける

 

贈与税には配偶者控除の特例があり、婚姻期間が20年以上である場合、居住用不動産を対象とし2,000万円までの贈与については課税されません。

また、暦年贈与の基礎控除額110万円も併せて利用できるので、最大2,110万円まで贈与税が非課税となります。

 

この特例は、婚姻中であることが条件ですので、離婚が成立した後は適用できません。ですので、離婚成立前に譲渡する必要があります。

 

離婚成立後は、上述の「3,000万円特別控除及び軽減税率の特例」を利用することになります。

つまり、離婚前に譲渡するか離婚後にするか、どちらが得かを検討する余地があります。

 

5.まとめ

 今回の離婚における財産分与とその税金についてお話しました。

 

離婚すること自体、精神的にも体力的にもかなりのストレスがかかるのはもちろん、お金に関しても財産分与をどうするかは問題となるでしょう。

 

財産分与は税金がかかわってきます。デリケートなお金の問題ですので専門家に相談するなど疑問点をはっきりさせて、すっきりしたうえで新たな再出発をしていただければ幸いです。