追伸 そろそろお前もお金について学ぶように 父より

お金について知ることで経済的にも精神的にも自由になりましょう。

インフレは私たちの生活にどのような影響を与えるのかという話

みなさんはインフレ・デフレという言葉自体は聞いたことがあると思います。

日本はバブル崩壊以降の1990年~現代にかけて景気が悪いとかモノが売れないとか、なかなか景気がよくない状態が続いています。いわゆるデフレ社会となっています。
国会討論でも景気上昇に関してよく議論されています。
ニュースではインフレ率2%が目標という言葉を聞いたりしますよね。
インフレなると景気拡大になるということなのでしょうか。

今回は、このインフレについて何が良くて何が問題なのかをお話したいと思います。

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1.インフレ(インフレーション)とは

インフレを簡単に言うと、モノの値段があがること、つまり物価が上昇することをいいます。これが社会全体的にしかも継続的に上昇することです。モノの値段が上がるというニュースはよくあるのであまりいいイメージをしないかもしれませんが、けっして悪いことばかりではありません。

それでは、インフレが起きると私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。
まずはなぜインフレが起きるのかをお話します。

2.なぜインフレは起こるのか
インフレには「ディマンドプルインフレ」と「コストプッシュインフレ」の2種類があります。

・ディマンドプルインフレとは

ある商品を欲しい、買いたいと考える人がたくさんいるが、モノがそれほど多くない場合、そのモノの値段が上がることがあります。
これを「ディマンドプルインフレーション」と言います。

例えば、冷夏になると夏野菜(トマト、ゴーヤ、茄子、きゅうり)が不作となり、スーパーに行くと夏野菜が軒並み値上がりしていることは「ディマンドプルインフレ」の代表例です。

・コストプッシュインフレとは

モノを作るための原材料が何らかの理由で値段が上がり、モノを作るための費用がかかる結果販売価格が上がる状態。
これを「コストプッシュインフレ」と言います。

例えば中東で戦争が勃発したとします。産油国は戦争のためにお金が必要になるため原油価格を値上げします。

そうなると原油を原材料や燃料にするガソリン、電気、プラスチックなどの値段は上がるでしょう。

いわゆる昔起きた「オイルショック」というやつで、デパートに消費者が殺到しトイレットペーパーを取り合う現象が起きました。

いずれもなにか悪いことしか起きないようですが、ちゃんとメリットもあります。

3.インフレのメリット

インフレによって物価が上がると、その国のお金の価値が下がります。日本円で言えば、円安になるということです。
1ドル=100円だったものが1ドル=120円になるということですから、ドルを持っている人にとってはお得ですよね。

ドルを持っていると日本製品を安く買えることができるので輸出産業が潤います。

また、海外の人たちは、安く日本を訪れることができるため、外国人観光客が増えます。外国人観光客が日本でたくさん買い物をしてくれると日本企業は潤い、皆さんの給料も増えます。
これは日本経済にとって大きなメリットといえるでしょう。

4.インフレのデメリット

メリットのところでも書きましたが、インフレとはお金の価値が下がるということです。

お金の価値が下がるのです。

たとえば、銀行に100万円預けていたとしましょう。何もしなければ今まで100万円で買えてたものが値段があがったために買えなくなります。
つまり、100万円は100万円ですが実質的にその価値は目減りしていくことになります。
高齢者の方にとっては自分の預金残高や年金の受取額が実質的に減ることになる。これは深刻な問題です。

日本円だけではなく、外国通貨や株などにも分散投資しておかなければかなり危険です。

5.ハイパーインフレとは

経済学の定義では、商品やサービスがコントロールできないくらいに上昇する状況をハイパーインフレと呼んでいます。
簡単に言い換えれば、ハイパーインフレは非常に急速な物価上昇をいいます。

一般的に、インフレ率が月に50%以上で成長するとき、ハイパーインフレと呼びます。
アメリカの経済学者フィリップ・ケイガンは、彼の著書「ハイパーインフレーションの貨幣力学」で最初にこれを定義しました。

そんなことが本当に起きるのかと思うかもしれませんが、世界で過去何度も繰り返されており、最悪の場合国家が破綻し、戦争をも引き起こしかねません。

最近で起きたハイパーインフレベネズエラ(2013年~)でこれは現在進行形で進んでいます。

ベネズエラハイパーインフレの要因は、国際的な原油価格の低下です。
ベネズエラは経済の柱のほとんどを原油の輸出が担っていましたから、この下落により政府への信頼が揺らぎました。さらには、外国企業の追放など反米的な政策をしたためアメリカの経済制裁が加わりました。

国の財政はボロボロ、そのため新たな通貨を印刷することとなりました。
それによりインフレは急加速し2013年に41%、2014年に63%、2015年に121%、2016年に481%、2017年に1,642%、2018年に2,880%、そして2019年に3,497%に上昇することとなります。凄まじいインフレで、国民生活は破綻し、多くの国民は国外へ逃げることとなりました。

6.インフレを解消するには

インフレはメリットもデメリットもあります。
お金を持っている人にとっては持っている資産が目減りするのでうれしくありません。
反対に、お金がなく借金を抱えている人にとっては、返す金額が減るので喜びますが、貸した人にとっては冗談じゃない、となります。

いずれにしてもお金の価値とモノの価値のバランスがうまくとれていない状態で、このままだと危険だとわかりますね。

ではインフレはどのように解消されていくのでしょうか。

ハイパーインフレの原因として政府がお金を新たに発行したことがありました。インフレは世の中のお金の総量が多くなり、そのためお金の価値が下がる状態でした。
これを解消するには、逆に世の中のお金の量を減らしてお金の価値を上げるようにします。

お金の量を減らすのに、政府は財政政策と金融政策で次のような政策をとります。

財政政策

増税する
増税すれば、みなさんがお金を国に治めるお金が増えるので、世に流通するお金の量は減ります。

社会保障を減らす
例えば、生活保護や年金を減らせば国が持っているお金を世の中に出さずに済みます。

・公共事業を減らす
国や地方自治体が行う公共事業、例えば道路工事やダム、橋の建設等を減らすとお金を世の中に出さずに済みます。

金融政策

公定歩合を上げる
日本銀行が、民間銀行に貸し付けを行うときの基準金利を上げる(=公定歩合を下げる)ことで、
民間銀行は日本銀行からお金を借りにくくします。結果、世の中に出るお金が減ることになります。

・世の中のお金を回収する(売りオペ)
日本銀行が市場から債券や手形を売って(=売りオペ)現金を回収することで、世の中のお金が減ることになります。

政府は上記の財政政策と金融政策をうまく組み合わせて、物価を安定させているのです。

7.まとめ
・インフレはモノの値段が上がり、お金の価値が下がること
・インフレの原因として、需要に対する供給不足(ディマンドプルインフレ)と原材料の高騰(コストプッシュインフレ)がある。
・インフレになると円安になり輸出産業や観光業が好調となり、景気が上昇する。
・インフレはお金の価値が下がるので、預金しか持たない人にとっては資産価値が減少していく。
・インフレを抑えるために政府は財政政策と金融政策をとる。

今回はインフレについてお話しました。これと対になる経済用語としてデフレ(デフレーション)があります。
次回はこのデフレについてお話したいと思います。