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夫婦で住宅を購入するなら単独名義か夫婦共有名義か?夫婦共有名義のメリット・デメリットについて!

 

結婚した時や子供が出来て、将来のことまで考えたとき住宅の購入を検討するのではないでしょうか。

また、住宅を購入するには住宅ローンを利用する人がほとんどだと思います。

 

住宅を購入すると名義人を登記しなければなりません。ここで名義人をどうするかで、

・単独名義にするか

・夫婦で共有名義にするか

を検討しなければなりません。

 

単独名義とは?

住宅ローンを1人の名義で借りて、住宅購入資金も1人で負担する場合、その人の単独名義となります。夫に安定収入があり、妻が専業主婦やパートの場合は夫の単独名義となるでしょう。

 

共有名義とは?

一方、2人以上で住宅ローンを組んで2人以上の名義で購入する場合は、その家の名義は資金を出した人たちの共有名義となります。共有名義にする場合は夫婦で行うのが一般的でしょう。

 

今回は住宅を共有名義で購入するメリットとデメリットについて、単独名義と比較しながら解説したいと思います。

 

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1.共有名義のメリット

 

1.1ワンランク上の住宅が購入できる

夫婦で共有名義にするということは、単純に二人で住宅ローンを負担するということになります。したがって、夫婦共働き世帯であれば購入できる家の予算が上がり、ワンランク上の住宅を購入することができます。

生涯または子供が成人するまでの長期間住み続ける家の購入を考えているならば、共有名義にして高級住宅に住むのもいいでしょう。

 

1.2住宅ローン控除が夫婦ともに受けられる

 

住宅ローン控除とは、税制上の優遇措置で、住宅ローンの年末残高の1%を10年間にわたって最大400万円(優良住宅なら最大500万円)を所得税、住民税から控除してくれる制度です。共有にすれば夫婦それぞれにこの住宅ローン控除が適用されるので、世帯で控除される額が単独名義よりも単純に2倍にすることができ、節税することができます。

 

1.3売却時の3,000万円特別控除も共有名義人ともに受けられる

 

住宅を売却した時に通常なら譲渡による所得税、住民税がかかります。しかしマイホームの売却に関しては特例があり、それが売却して得た利益から最大3,000万円が控除される制度(3,000万円特別控除)です。この制度は共有名義者それぞれに適用ができるので、夫婦の共有なら最大6,000万円の利益まで非課税とすることができます。

これにより、売却時においてほとんどのケースで税金が発生することはないと考えられます。

 

1.4相続対策になる

 

例えば夫の単独名義にしていると、その名義人である夫が亡くなった場合、その家がそのまま相続財産になります。

しかし、共有名義の場合、あらかじめ夫婦で持ち分を分けておくことで、どちらか一方が亡くなった場合に相続する財産を持ち分に応じて少なくすることができ、相続税を抑えることができます。つまり共有名義にすることは相続税対策にもなるということです。

 

2.共有名義のデメリット

 

2.1一方の収入が減る、または、収入がなくなった場合にローンの返済が困難になる可能性がある

 

共有名義は住宅購入予算を単独名義よりも高くすることができますが、これは、夫婦それぞれの収入が今後も安定していることが前提となっています。

その際、問題となるのは、今後も10数年にわたり安定収入を継続して得られるかどうかです。

 

昨今、終身雇用制の崩壊や大企業のリストラにより長期的な収入は不安定という状況です。

夫婦そろって、今後も安定収入を得られる保証はどこにもありません。

 

また、特に女性は、出産や子育てで離職することもあるでしょう。出産後も働く意思があったとしても、妊娠中や産後の体調、産まれてくる子供の状況によっては、働けなくなる可能性もあるでしょう。

そうなると、住宅ローンの返済が困難になる可能性があります。

 

2.2離婚時にもめる可能性がある

 

家を購入する際、離婚することを考えて購入する人はいないでしょう。しかし、それでも離婚時にどうなるかは知っておいたほうがいいでしょう。

 

家を夫婦共有にすると、離婚時に財産分与や今後の住居のことでもめる可能性があります。共有名義の家の売却は、共有者全員の署名と捺印が必要です。どちらかが家に住み続けるのか、売却するのかでもめると、その家を売ることができなくなります。

 

売却するにしても、離婚する者同士が協力して売却活動をするのは相当な精神的ストレスとなるのではないでしょうか。またどちらか一方が住み続ける場合には、譲渡とみなされ譲渡所得税がかかったり、また贈与とみなされ贈与税がかかることもあります。

 

3.まとめ

住宅の購入は一生のうちでも、ほとんど一度しかない大きな買い物です。

 

単独名義にするか共有名義にするかは、家の購入予算や税金(所得税、住民税、相続税贈与税)、そして長期にわたるその後の生活にまで大きな影響を与えます。

それぞれの特徴を理解して、しっかり検討するようにしましょう。

居住用不動産を売却したときに売却損が出た場合に知っておきたい2つの特例

前回はマイホームを売却したときに売却益が出た場合の以下の特例3つを解説しました。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例

 

一方、売却損が出た場合には税金は発生しませんが、損失を給与所得や不動産所得等の他の所得と相殺することで税金が安くなる特例があります。

 

そこで今回は、居住用不動産を売却したときに売却損が出た場合に知っておきたい以下の2つの特例について解説いたします。

 

1.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

2.特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

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1.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

 

 

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」とは、5年を超えて保有する居住用不動産を売却して、新しく居住用の不動産に買い換える場合は、上記の「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を利用して税金面で優遇するというものです。

 

この場合、不動産を売却することにより損失(赤字)が出ても、売却損をその年の他の所得と損益通算することができ、また、損益通算してもなお赤字となった金額については、翌年以降3年間繰り越してその年の所得から控除できます。

 

例えば、サラリーマンなどの給与所得者の場合、給与から毎月一定額の所得税が天引き(源泉徴収)されています。この給与所得と買い換えのときに生じた譲渡損失を相殺(損益通算)することで、給与所得で天引きされていた所得税が還付されることになります。

 

例えば、給与所得が600万円のAさんが、売却により譲渡損失▲1,000万円が生じた場合、Aさんは損益通算により、Aさんのその年の所得は▲400万円(=600万円―1,000万円)となります。

Aさんが勤める会社は年収600万円を元に税金を天引きしていますが、実際の所得は▲400万円だったため、年収600万円を前提に払っていた税金は払い過ぎていたということになります。

したがって、確定申告することにより特例を適用することで払い過ぎていた税金が還付されることになります。

 

この特例を適用する条件として、まず居住用の不動産でなければなりません。従ってオフィスビル等の事業用不動産を買い換えても適用はありません。

 

また、その不動産に住まなくなり、空き家となっている場合でも、住まなくなった日から3年目の年末までに売却すれば特例の適用が認められます。

 

また、他にも以下の条件があります。

・買い換え資産(新居)の住宅ローン(償還期間10年以上)があること

・買い換える建物の床面積が50㎡以上のものであること

・売却の年の前年から翌年までの3年の間に買い換えること

 

また、この制度は売却した前年、前々年に以下の特例を受けた場合には適用することができません。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

を受けていないことが条件となります。その他、親子間や夫婦間で不動産を売買した場合にも同様に適用することはできません。

 

2.特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

 

 

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、5年を超えて保有する居住用の不動産を売却して、新しく居住用の不動産に買い換えるのではなく、譲渡契約を締結した日の前日時点で「譲渡資産」の住宅ローン(償還期間10年以上)があることです。

 

「1.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」との違いは、買い換えが有ったか無かったかの違いとなります。

 

不動産を売却して損失が出た場合、売却損をその年の他の所得と損益通算でき、損益通算しても赤字となった金額については、翌年以降3年間繰り越して所得から控除できます。

 

ただし、譲渡損失の内、以下のいずれか少ない金額について損益通算できます。

・譲渡した居住用財産の譲渡損失額

・譲渡した居住用財産にかかる住宅ローン残高から売却価額を控除した残額

 

例えば以下の場合

  • 譲渡損失の額:3,000万円
  • 譲渡した不動産の売却価額:4,000万円
  • 住宅ローン残高:5,000万円

 

この場合、譲渡損失3,000万円が損益通算の対象になるのではなく、住宅ローン残高5,000万円から売却価額4,000万円を引いた残額1,000万円が損益通算の対象になります。

 

要は、まだローンが残っているのに損失が3,000万円も発生して残念だろうけど、手元には売却して得た金額が4,000万円残っているから、それでローンを返済した残り1,000万円だけは損益通算を認めますよ、という制度になっています。

 

従って、売却して得た金額でローンを完済できる場合には損益通算することはできないことになります。

 

この特例を適用する条件は、上記「1.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と同様で、居住用不動産であること及び、住まなくなった場合でも、その日から3年目の年末までに売れば特例の適用が認められます。

 

さらに、同様に、売却した前年、前々年に以下の特例を受けた場合には適用することができません。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

を受けていないことが条件となります。その他、親子間や夫婦間で不動産を売買した場合にも同様に適用することはできません。

 

またこの特例を受けるためには、確定申告をしなければなりません。

 

3.まとめ 

今回は居住用不動産を売却したとき売却損が発生した場合の特例を2つ紹介しました。どちらも似たような制度ですが、2つの制度の大きな違いは、「買い換え」があるかどうかです。

買い換えがあれば、買い換えた(新居の)不動産に10年以上の住宅ローンがあるか、買換えがない場合、売却する不動産に10年以上の住宅ローンが残っているかということです。

 

以上、マイホームなどの居住用不動産を売却したとき、損失となった場合は住宅ローンと併用することにより、税金面で優遇措置が設けられています。

 

逆に売却益で出た場合には以下の3つの特例が認められていますが、住宅ローンとの併用は認められていません。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例

要は、売却益も出ているし、これだけ優遇しているから住宅ローンが残っていても返済できますよね、ということでしょう。

 

居住用不動産の譲渡については、売却益となっても売却損となっても、かなりの優遇措置が取られていることがわかると思います。しかし、かなり細かい適用要件もあいますので、実際に適用できるかどうかは、税務署又は税理士に相談するようにしてください。

マイホーム(居住用不動産)を売却したときの譲渡所得が発生した場合の3つの特例

マイホームを売却したら、譲渡所得または譲渡損失が発生します。簡単に言えば売却益又は売却損です。

 

ここで譲渡損失が発生すれば、所得税は発生しません。逆に、譲渡所得が発生すれば、所得税がかかってきます。

 

マイホームを売却しようと考えた場合、少しでも高く売りたいと考えるでしょう。そのために、家をリフォームするとか、バリアフリー化することでいくらか費用が発生します。お金をかけてリフォームした結果、高く売れたとしても多額の税金を取られるのはちょっとイヤですよね。

 

しかしマイホームを売却した場合に以下のように、なるべく税金を発生させないような措置が設けられています。

 

1.3,000万円の特別控除

2.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

3.特定の居住用財産の買い換え特例

 

住宅の購入や建築は経済の活性化につながりますので、国も税制面で優遇することで経済活性化を図ろうとしているのです。

また、現在、深刻化している「空き家問題」の解決にもつながります。

 

今回は譲渡所得が発生したときの上記3つの特例について解説したいと思います。

 

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1.3,000万円の特別控除

土地や建物等の不動産を譲渡したとき、譲渡所得が発生します。譲渡所得は、以下の計算式で表されます。

譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)

 

※収入金額とは買主から受け取る金銭の額です。 ※取得費は、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料等の額です。

※譲渡費用とは、仲介手数料や印紙税等、土地や建物を売るために直接かかった費用を言います。

 

計算した結果、譲渡所得がプラスになる場合は譲渡所得、マイナスになる場合は譲渡損失となります。

 

譲渡所得が発生した場合には所得税が発生することになります。しかし、なるべく税金が発生しないような特例があり、その一つが3,000万円特別控除と言われるものです。

 

つまり、譲渡所得が発生しても、3,000万円までなら課税所得は発生しないことになります。

計算式で表すと以下のようになります。

 

課税譲渡所得 = 譲渡所得 – 3,000万円

 

課税譲渡所得がマイナスなら譲渡所得税はかかりませんが、プラスであればその金額に税率を掛けた金額を納税しなければなりません。

 

ほとんどの方は、マイホームの譲渡で3,000万円以上の所得が発生することはないと思われますので、この特例の適用により納税額が発生することはないでしょう。

 

なお、納税額が発生しない場合でも、譲渡所得の確定申告は必要ですので注意してください。

 

3,000万円特別控除を適用してもなお、課税所得が発生する場合には、その金額に税率を掛けた金額を納税しなければなりません。この税率についても次に解説する軽減税率の特例があります。

 

2.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

 

3,000万円特別控除は所有期間の長短に関係なく適用できますが、譲渡所得が発生した場合の税率は長期と短期で異なります。

 

・短期譲渡所得(所有期間が5年以下):39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

・長期譲渡所得(所有期間が5年超):20.42%(所得税15.315%、住民税5%)

 

そして、所有期間が10年を超えた場合、さらに税率が軽減される特例があります。

これが「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」です。

税率は14.21%所得税10.21%、住民税4%となります。

 

この特例により、かなり納税額が抑えることができます。

 

ただし、軽減税率が適用できるのは譲渡所得が6,000万円までであり、6,000万円を超える場合は、超えた金額に対する税率は上記の長期譲渡所得に対する税率が適用されます。

 

3.特定の居住用財産の買い換え特例

新しくマイホームを買い換えるために、現在住んでいるマイホームを譲渡する場合もあります。このとき、譲渡した旧マイホームに住んでいた期間が10年超で譲渡所得が発生した場合、多額の所得税が発生すると、買い換えるマイホームの資金が足りなくなる場合もあるかもしれません。このことを避けるための措置として「特定の居住用財産の買替え特例」があります。

例えば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常の場合、旧マイホームの譲渡で4,000万円の譲渡益が発生しますので、これに対して譲渡所得税が発生します。

しかし、特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡所得への課税は行われません。

 

ここで注意していただきたいのは、譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができるということであって、譲渡益が非課税となるわけではありません。

 

つまり、買い換えた7,000万円の新マイホームを将来8,000万円で譲渡した場合、差額の1,000万円が課税対象となるわけではなく、特例の適用を受けた年に課税されなかった4,000万円も加えた5,000万円が課税対象となります(旧マイホーム譲渡時の4,000万円の譲渡所得は新マイホームの譲渡時まで繰り延べられることになる)。

 

この場合、買い換え特例適用後、新マイホームを売却する時に多額の税金が生じる可能性があります。

上記の10年超の軽減税率や、新たに買い換え特例を利用できるように、新たに買い換えた新マイホームを10年超所有するといった長期的な計画を持っておく必要があります。

 

なお、この買い換え特例を適用した場合、3,000万円特別控除は利用できません。従って、マイホームの買い換えをお考えの場合、どちらの特例を利用した方が得かを検討するようにしてください。

 

4.まとめ

今回は譲渡所得が発生した場合の税制面で優遇されている特例について解説しました。住宅を購入売却する際には、その所有期間がけっこう重要になってきますので、購入した時点である程度、長期的な視点をもつことも大切になってきます。

また、今回紹介した3つの特例それぞれについては、ここでは書ききれないくらい、細かい要件がありますので、要件に合致しているかについて国税庁HPで確認するか、税務署又は税理士に相談するようにしてください。

 

ちなみに、上記の3つの特例を使えば、税金はゼロ、もしくはかなり低く抑えることができますが、国民健康保険料や介護保険料などの計算には関係ありませんので、翌年の保険料への影響には注意が必要です。 

マイホームを所有している方必見。不動産売却にかかる税金はいくら?

不動産を売却すれば、いくつか税金がかかってくることは、皆さんご存知かと思います。不動産の売却自体、一生のうちそう何度もするわけではないので、実際、申告は必要なのか、税金はいくらかかるのかなどについては、あまり理解している方はいないでしょう。そのまま放置して、年末近くになって税務署から不動産売却に関するお尋ねのハガキが来て、あわてて調べ出す方がほとんどではないでしょうか。

不動産を売却した際にはまず登録免許税、印紙税がかかります。そして、売却価額が購入価額を上回る場合、すなわち売却益が生じた場合にはその年の所得税確定申告で税金「譲渡所得税」を計算し納付しなければなりません。今回は、不動産売却の際の「譲渡所得税を中心に、不動産売却でかかる税金の計算方法さらに特別控除などについて解説していきたいと思います。

今回の要点

  • 不動産を売却する際、利益が出た場合には所得税・住民税を支払う必要がある。
  • 不動産売却に関しては3000万円特別控除、軽減税率の特例など税金を抑えるための特例があるので、条件を理解して活用しよう。

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1.不動産売却にかかる所得は申告分離課税

売却益が出た場合は「譲渡所得税」「住民税」及び「復興特別所得税」がかかります。

所得税は、給与所得や不動産所得など各種所得金額を合計し総所得金額を求め、これに税率を掛けて税額を計算する総合課税が原則です。しかし、不動産の売却に伴って生じる譲渡所得については、他の所得とは合算せず、個別に税額を計算する分離課税方式が採用されています。

それでは次に不動産譲渡による所得税の計算方法にういて解説していきたいと思います。

2. 所得税の計算方法は?

たいていの人は不動産の売却価格から購入価格を引いて、差額がプラスなら譲渡益、マイナスなら譲渡損と単純に考えてしまいがちですが、そう単純ではありません。また購入したのがはるか昔で、購入金額がいくらかわからない、と言った場合もあります。

不動産譲渡による所得の計算式を示すと以下のようになります。

・譲渡所得 = ①譲渡収入金額−(②取得費 + ③譲渡費用)

・課税譲渡所得 = 譲渡所得 −④特別控除

・税額 = 課税譲渡所得 × ⑤税率(所得税・住民税)

2.1. ①譲渡収入金額

譲渡収入金額とは不動産の売却価格、すなわち売買契約書に記載されている金額になります。ただし、不動産といっても、土地と建物の両方がある場合にはそれぞれの売却価格を把握しなければなりません。譲渡所得を計算する際、それぞれ別に計算する必要があるからです。

仮に土地建物を一体として売却し、売却金額も分かれていない場合は消費税からそれぞれの金額を逆算します。なぜなら土地には消費税がかかりませんので、消費税が記載されていれば、その金額は建物にかかる消費税だということがわかるからです。

例えば土地建物を合算で5,000万円(消費税別120万円)で売却した場合、土地及び建物のそれぞれの金額は以下のとおりとなります。

①建物の売却価額:120万円÷8% = 1,500万円

②土地の売却価額:5,000万円-1,500万円 = 3,500万円

このようにして、土地、建物それぞれについて売却価額を把握しました。

 

次に取得費、つまり購入時にかかった費用について解説いたします。

2.2. ②取得費

取得費には、売却した土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。なお、建物の取得費は、購入代金又は建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。

減価償却費とは?

本来、建物というものは時が経つにつれてその価値は下がっていきます。この時の経過によって価値が下がることを、減価償却(げんかしょうきゃく)といい、以下の計算式に基づいて計算します。

減価償却費=建物価格×90%×償却率×経過年数

例えば

建物購入価格(取得費含む):1500万円

償却率:0.015(譲渡資産の耐用年数の 1.5倍に応ずる償却率を適用)

取得から売却までの経過年数:15年

の場合、減価償却費は以下のように計算されます。

減価償却費=(建物価格1500万円)×90%×(償却率0.015)×(経過年数15年)

=303.75万円

したがって、この建物の取得費は

1,500万円-303.75万円=1,1960.25万円

となります。

なお、土地については税法では、時の経過とともに価値は下がらないという考え方のため減価償却という概念はありません。

取得費が不明な場合は、概算法が使える。

売った土地建物が代々受け継がれたものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。

実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も同様です。

例えば、建物を1,500万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である75万円を取得費とすることができます。

 

2.3. ③譲渡費用

不動産売却に伴って支出した費用で、仲介手数料、登記費用、印紙代のほか、建物の取り壊し費用や借主に支払った立ち退き料なども含まれます。

2.4. ④特別控除

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。

しかし、普通のサラリーマンが購入するような規模のマイホームで、3,000万円以上も売却益(譲渡所得)が発生しているケースはほとんどありません。つまり3,000万円特別控除の要件に合致していれば、ほとんどのケースでは課税譲渡所得はマイナスとなり、不動産を売却による所得税は発生しないことになります。ただしこの場合でも確定申告は必要になりますので注意が必要です。

3000万円特別控除の適用には細かい要件もありますが、その家に住んでいた場合なら、ほぼ間違いなく適用できるでしょう。

2.5. ⑤税率

マイホームの売却益が3000万円を超えていたらその超えた分に対して、また、マイホーム以外の売却であれば、その売却益に対して税率を掛けた金額が納税額となります。税率は不動産の所有期間に応じて「短期」と「長期」に分類され、それぞれにおいて所得税・住民税の税率が異なります。

不動産の所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年を超える場合「長期譲渡所得」となり、短期か長期かの判定は売却した年の1月1日現在で「所有期間5年以下」の場合は「短期」、売却した年の1月1日現在で「所有期間5年超」の場合は「長期」となります。

わかりやすく言うと、購入してから売却する日まで、正月を6回以上迎えたら「長期」、5回以下なら「短期」となります。

短期、長期それぞれの税率は以下のようになります。

短期譲渡所得:39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

長期譲渡所得:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

「短期」と「長期」で2倍近く違いますので、売却するなら長く保有した方がよいでしょう。

所有期間10年超の場合の軽減税率の特例

さらに、自分で住んでいたマイホーム(居住用不動産)を売却した時に、その不動産を10年超所有していれば、長期譲渡所得の税額より低い税率で計算する軽減税率を適用できる特例があります。

居住用財産の3,000万円の特別控除の特例と併用できるため、3,000万円の特別控除の特例を適用しても譲渡所得(売却益)が出ている場合、この特例を適用すればさらに税額が軽減されます。

税率は14.21%(所得税10.21%、住民税5%)となります。

ただし、この特例を受けるためには、3,000万円の特別控除の特例と同様に確定申告を行う必要があります。

適用条件は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と同じですが、売却した不動産の所有期間が、売却した年の1月1日現在において、10年を超えていなければいけません。また、前年、前々年にこの特例を受けていないことも適用条件です。

3. まとめ

今回は不動産の譲渡所得についてお話しました。不動産を売却した場合、その年の年末近くになると税務署からハガキが届きます。内容は不動産売却に関するお尋ねで、売却益が出ていたらちゃんと申告してくださいね、というものです。

いきなり税務署からハガキが来て、多額の税金が発生するのかと不安感に襲われるかもしれません。

しかし今回お話した譲渡所得に関する知識があれば、あわてずに済みます。細かい知識は必要ありませんが、マイホームを所有している方は今回お話した内容は少なくとも理解しておいた方がいいでしょう。

不動産投資を始めるなら知っておきたい3大リスク

不労所得(働かないで稼ぐ)といえば、不動産投資をイメージするでしょう。不動産投資は不労所得として、あるいは副業として興味がある方も多いでしょう。また、将来の年金代わりになるなど、さまざまなメリットがあります。

不動産投資に関するCMもあり、本屋でも不動産投資に関するノウハウ本も積まれていますので、安全なイメージがありますが、しかし、不動産投資も投資である為、それなりのリスクがあることはちゃんと認識しておかなければなりません。

本来であれば仲介業者などが販売前にきちんと説明しなければならないのですが、営業手法としてメリットばかりを強調し、リスクについてはさらっとした感じの説明が多いです。

不動産投資に安易に参入して失敗し、最悪の場合は自己破産ということになってしまう事もあります。そうなりたくなければ、不動産投資におけるリスクをしっかり把握するのは必須です。

今回は不動産投資に関する最も大事な以下の「3大リスク」を紹介します。

  1. 財務リスク
  2. 運用・売却リスク
  3. 老朽・震災リスク

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1.財務リスク

不動産投資をはじめる際、最初に理解しておくべきリスクは「財務リスク」つまり借入返済及び利息の支払にかかるリスクです。

多額の買い物になるので、金利が1%違うだけでも総支払金額は大きな差となります。場合によっては予想外の支出になりかねません。

1-1. 金利上昇のリスク

金融機関などのローンで購入した場合、将来、金利上昇リスクがあります。金利にも「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。

固定金利は、金利こそ割高ですが完済まで利率がかわりません。これに対し、5年ごと、10年ごとなど定期的に経済動向に応じて利率が変動するのが変動金利です。政府のゼロ金利政策により変動金利は現在、固定金利より低く抑えられていますが将来的には固定金利より高くなる可能性もあります。

変動金利を選択した場合、金利上昇リスクにさらされていることになります。借入金額は数千万円になりますので、金利が1%上がっただけでも年間数十万の支払増となるのです。

1-2. 税金

不動産に関してはさまざまな税金が付きまといます。

不動産投資に関する税金として、購入から運用そして売却まで税金が関係してきます。主な税金として、

  • 購入時(不動産取得税、登録免許税、印紙税など)
  • 運用時(固定資産税)
  • 売却時(譲渡所得税

すべてにおいて税金を課せられる事になります。特に売却時に関しては経済動向や短期譲渡・長期譲渡の利率を把握して、適切なタイミングで売却しなければより多くの税金を払うことになるので譲渡所得に関する知識は習得したほうがよいでしょう。

1-3. 悪質な不動産会社による販売

消費税増税による「駆け込み需要」というワードを聞いた事がある方は多いと思います。不動産会社にとっては、これを利用し今が買い時のような販売文句で営業をかけてきます。

増税前に購入したほうがよいというのは決して信用してはいけません。

投資用マンションの販売業者には安定収入のある人をリストアップした名簿が出回っています。業者はその名簿にしたがい、片っ端から営業電話を仕掛けてきます。増税の際は特にたくさん掛かってきて、不安を煽るためか「増税前に買わないと損しますよ」と。業者の煽りに騙されてはいけません。

増税すればその分、販売価格が上がりますが、増税後はその反動で安くなることもあります。購入する判断材料として増税前だからというのはあまりに短絡すぎるでしょう。

2.運用・売却リスク

続いて投資マンション購入後に発生するリスクについて解説します。

不動産投資で成功するためには「利回りの良い物件」が必要ですが、良い物件を購入できたとしても、成功するかどうかは運用する人次第です。

購入後にすぐ転売する人はあまりいないでしょう。一般的に10年以上は運用することになります。10年といえばけっこう長い期間です。想定外の問題、想定外の支出など多くの問題が発生します。

2-1. 空室リスクは常に付きまとう

投資マンションやアパートの運用を行う際は、その部屋を借りてもらえなければ収入はありません。空室があるだけで大きな赤字です。この状態が続けばいずれは資金繰りが難しくなります。

不動産投資において空室リスクを100%解決する方法はありません。管理会社によっては空室の場合に備えて家賃保証制度を売りにしているものもありますが、たいてい1カ月のみなどたいした保証にはなっていません。100%保証にするとすべての空室リスクを不動産会社が負うことになり、そんな会社はないのは予想できるかと思います。

空室リスクは100%あなたが負うことになります。

2-2. 家賃滞納してもなかなか追い出せない

世の中の人は生活苦に陥った場合、まず家賃を滞納し始めます。すぐに追い出せばいい、とお考えかもしれませんがそう簡単には行きません。なぜなら

日本の法律は、貸主より借主を保護するように出来ているため、なかなか追い出せない

のです。

6ヵ月以上も滞納しながら居座るケースもあり、被害は甚大とも言えます。

催促を管理会社に行ってもらえますが、それでも居座られてしまい、最終的には訴訟をおこすしか手立てがなくなってしまいます。そうなるとすぐに家賃を回収できないばかりか、訴訟費用など思いがけない多額の出費となる可能性があります。

2-3. 必ず売却できるとは限らない

不動産投資もあまりうまくいかず、売却をしようと考え始めたとします。しかし、必ず売れるという保証はどこにもありません。不動産は大きな買い物なのでなかなか買い手がつかないのです。

売ろうとしてもなかなか売れず、売却金額をどんどん安くせざるを得なくなり、結局損をしてしまうことになりかねません。

売れたとして銀行からの借入金も完済できない可能性も出てきます。

2-4. 事故物件

過去に事件や事故で人が亡くなった賃貸物件を通称「事故物件」といいます。事故物件は賃貸物件を探している人に告知する義務があります。従って、その物件に住みたいと思う人は皆無であり、貸主の希望する賃料よりはるかに安く貸し出されます。確実に赤字になるため、売却を考えるでしょう。しかし売却しようにも事故物件のため、買いたいという人を見つけるのはかなり困難でしょう。

3.老朽・震災リスク

日本は島国であり災害が特に多く発生する場所でもあります。そういった場所で不動産投資を行うことはリスクを伴うことは容易に想像できます。

3-1. 地震、火事などの震災

日本に地震の発生が多いことは承知のことですが、体感的にも1年間に10回前後の地震が起こっている地震大国です。

全ての建築物は国が定めた耐震基準を満たした建物ですが、しかし、東日本大震災のように想定外の大地震がまた起きないとも限りません。命だけでも助かれば幸いですが、建物が全壊してローンだけが残ってしまうことになればその後の生活は成り立たなくなるでしょう。

火災保険」や地震保険の加入は必須です。

3-2. 修繕費用

新築で購入したとしても、早くて数年後には修繕費用が掛かってきます。例えば、屋根・外壁の修理、給湯器の交換、配管設備の交換など優良物件を維持するためには相応の費用が都度発生します。また10年~15年間隔で大規模修繕が行われるのが一般的です。その費用を負担するのはあなたです

修繕費用は家賃の収益で少しずつ積み立てていくのが一般的ですが、大規模な修繕の場合はその積立だけで足りず、場合によっては、追加で銀行借入が必要になってくるかもしれません。その場合、財務リスクが増大することになります。

まとめ

不動産投資をするうえで考えられるリスクを紹介してきましたが、リスクの種類も多く、様々な問題が山積みのため、精神的なリスクも負わなければなりません。投資にはリスクが付きものですが、そのリスクを理解した上で適切にリスク回避しなければなりません。不動産投資を始めるのであればご自身でも十分な知識を得た上で行いましょう。

個人事業主が銀行融資を受けたい場合に抑えておきたいポイント

事業が軌道に乗ってくれば、さらなる事業規模拡大のための運転資金が欲しくなってきます。きっちり計画を立て売上先も確保して一気に事業拡大と意気込んでも、商品を仕入れたり、製品を製作するための資金がなければ、せっかくのビッグチャンスを逃しかねません。

 

そのような場合、自己資金でまかなえればよいですが、大きな利益を得ようとすればやはり銀行借り入れに頼ることになるでしょう。

 

銀行借り入れというと、少しハードルが高く感じるかもしれませんが、きっちり計画を立て得意先を確保し、十分返済可能であることをしっかりアピールできれば、意外にすんなり資金調達できたりします。

 

今回は、個人で銀行融資を受ける場合に抑えておきたいポイントを解説いたします。

借入をうまく利用して大きく利益拡大をめざしましょう。

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ここでは事業用の借入(ビジネスローン)に絞って解説したいと思いますが、個人事業主だけでなく中小企業経営者もほぼ同様の話になりますのでぜひ参考にしてみてください。

 

1.個人事業主の銀行借り入れは難しい?審査基準は?

銀行借り入れを受けるに当たって最も気になるのが、どんな審査をするのということだと思います。銀行も貸付により利息を得ることをビジネスにしているので、優良な事業を行っている事業には喜んで貸したいと考えています。

ですので、審査のポイントとしては、まずはしっかりした計画が立てられていること。その計画が実現可能であること。返済能力が十分であること。そして事業主の経歴や事業遂行能力も判断されます。

具体的には以下のポイントがあげられます。

・しっかりした事業計画があること(返済計画含む)

・相応の借入申込額であること

・ある程度の自己資金があること

・これまで税金の滞納がないこと

消費者金融からの借り入れがないこと

・事業主の人柄

以上を総合的に判断して審査されます。上記審査をする際の判断材料として必要な書類を次に解説いたします。

2.銀行借り入れを申し込む際に必要な書類

2.1本人確認書類

本人確認書類は必須です。銀行が本人確認書類の提出を求めるのは、犯罪を防止する目的もあり、どのような銀行でも必ず提出が求められます。

一般的には「運転免許証」のコピーを提出するケースが多く見られます。

 

2.2損益計算書貸借対照表

所得税の確定申告書を提出していれば、青色申告決算書も一緒に提出します。この青色申告決算書には損益計算書及び貸借対照表が含まれています。

 

銀行が融資を判断する際、最も参考にする書類です。少なくとも2年から3年分は準備しましょう。

 

損益計算書とは?

損益計算書は、収益と費用及びそれらの差額としての利益を記載した書類です。つまり、事業の一年間の利益を表す書類であり、この書類から銀行側は「この人は事業でどれくらい儲けているのか」を把握することになります。

 

銀行融資の審査を通りやすくするためには、2年から3年間は利益が「黒字」であれば印象がよいですが、赤字であった場合でも、しっかりした事業計画と今後黒字化する見込みなどを説明できれば問題ないでしょう。

 

絶対にしてはいけないのが粉飾決算です。例えば大赤字にも関わらず、黒字と偽った損益計算書を作成することです。銀行も素人ではないので、うその決算書を提出してもどこかつじつまが合わないところが出てきますので、簡単に見抜かれます、

嘘の情報を記載すれば、それを見抜かれた時点で審査に通ることはまずないでしょう。赤字であったとしても、銀行から融資を受けられないわけではないため、金融機関を欺くような行為は絶対にやめましょう。

 

貸借対照表とは?

貸借対照表とは、「バランス・シート」とも呼ばれ、財政状態を表す書類です。「資産・負債及び純資産」のうち、資産を左側に、負債及び純資産を右側に記載することで、いくら現金や預金があり、いくら返済義務があるかががひと目で分かるようになっています。

 

資産と負債の差額が純資産となります。純資産がマイナスになった場合、それは今現在持っている資産より支払義務の方が多い、いわゆる債務超過の状態になっていることをあらわします。このような状態では銀行に対する心象は著しく悪く、融資を受けることは大変厳しいでしょう。しかし上述の損益計算書でも示した通り2年から3年間黒字経営になっていれば純資産がマイナスになることはないので、まずは数年間黒字経営を行うよう努力しましょう。

 

なお、貸借対照表に関しても、数値を改ざんすることは論外です。

 

2.3資金繰り表

資金繰り表とは、会社のお金のやり繰りを記載した書類です。例えば月ごとに入金予定や支払予定などが記載され、いついつまでにいくら用意しなければならないかなど当面の資金繰りの情報が記載された書類です。

これを作成していなければ、いわゆる「どんぶり勘定」、行き当たりばったりの経営と判断され、経営者としての資質を問われるでしょう。

 

資金繰り表を作成していれば、銀行から印象は間違いなく良くなります。また資金不足を一早く察知できるので、資金ショートなど事業リスクへの対応が早くなります。

 

2.4借入状況一覧表

貸借対照表の負債の部に借入金が記載されている場合には、銀行の目に必ず留まります。借入額が多いと黒字経営であっても将来的に会社の負担になるので、返済計画も併せて借入状況一覧表を提出し、返済に問題がないこともアピールしましょう。

 

2.5印鑑証明

印鑑証明は必ず必要になります。市町村村役場などに足を運ぶ必要があるので、印鑑証明も早めに準備しておきましょう。

 

2.6納税証明書

日本では納税が義務となります。会社・個人を問わず納税ができない者に対して銀行が融資を行うことはありません。所得税確定申告書を提出する際に納付書も同時に提出しましょう。

 

2.7借入申込書

借入申込書については、各銀行によりフォーマットは異なるので、必ず各銀行の申し込み方法をチェックした上で作成するようにしましょう。

不備があると再提出など余計に時間がかかってしまうので、基本的には空欄を作らないようにしましょう。

 

3.その他のチェックポイント

3.1複数の銀行に申し込む

銀行に限らず、信用金庫や公的金融機関もあります。それぞれ審査基準や金利もさまざまで一つの金融機関で審査に落ちても他の金融機関なら通る場合もあります。できれば三か所くらいは申し込んで一番条件のよい金融機関を選択するのもありです。

 

3.2担保や保証人を用意しておく

最初の申込から担保を提供できるなら、格段に審査が通りやすくなります。しかし審査後、場合によっては、担保や保証人を要求される場合もあります。

要求されてからでも担保の提供次第では審査が通る場合もありますので、できればこれらはあらかじめ用意した方がよいでしょう。

 

4.まとめ

銀行借り入れは審査をクリアするために様々な準備が必要となります。それ以前に、資金繰りに窮してもすぐに銀行が資金を融通してくれるわけではありません。

 

借りたいと思ってもすぐに借りることができないので、しっかり審査を通過できるように、日ごろから健全な経営を行い、黒字経営を目指すべきです。

 

世の中には節税ばかりを気にして、無駄に経費を使い、赤字決算ばかりを続けている事業主も多く見受けられます。このような方には銀行はまず融資はしないでしょうし。事業も遅かれ早かれ廃業へと向かいます。今後もしっかり事業を継続していきたいなら、過度な節税はやめ、黒字経営を目指すべきです。

 

審査の確実な通過を狙うなら、税理士事務所、会計士事務所といった外部の専門家の力を借りることも検討してみてください。

医療保険は必要か?不要と考えられる4つの理由

医療保険には、大きくわけて「公的医療保険」と、「民間の医療保険」の2種類があります。

「民間の医療保険」(以下、単に医療保険と言います)の必要性についてはさまざまな意見があり、医療保険へ加入すべきか迷っている方も多いでしょう。

今回は医療保険が不要と言われる理由4つと、それでも医療保険が必要とされる場合をお話したいと思います。

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1.医療保険とは?

医療保険とは基本的に、入院や手術をした際にあらかじめ決められた給付金が受け取れる保険をいいます。

例えば、「入院1日あたり5,000円」の医療保険で14日間入院したとすると、入院給付金として「5,000円×14日間」で7万円を受け取れます。
また、「入院給付金が1日あたり5,000円、手術給付金が入院給付金の20倍」の医療保険に加入していた場合、手術を受けた際に支払われる給付金は「5,000円×20倍」で10万円になります。この場合、合計で17万円になりますので、医療費は十分賄えるかと思われます。

それ以外に特約というかたちでさらに手厚い保障をつけることもできます。

2.医療保険が不要と言われる理由4つ

では、なぜ医療保険が不要と言われているのでしょうか。

その4つの理由を解説します。

2.1.公的保障制度によって治療費も収入もカバーできる

日本には国民皆保険の制度があり、誰もが何かの社会保険に入っています。
これは病気などで困ることがないよう、社会全体で助け合う制度です。

具体的には以下の3つがあげられます。

2.1.1.医療費の3割負担

みなさんは健康保険に加入しているでしょう。病院の窓口で健康保険証を提示すると、医療費の負担が3割となります(6歳未満は2割、70歳以上は所得によって1~3割の負担)。
あまり意識することはないかと思いますが、国の公的医療制度により大幅に自己負担額が抑制されているのです。

2.1.2高額療養費制度

病院へ入院する場合など、仮に3割の負担であっても医療費が高額になる場合があります。自己負担の金額が高額になっても、一定額に達するとそれ以上は負担しなくて済む制度が「高額療養費制度」と呼ばれる制度です。

年収にもよりますが、普通に働いている方ならだいたい8万円くらいが上限です。
これ以上かかったとしても申請することにより超えた分を後で払い戻してくれます。

次の傷病手当金もそうですが、この制度を知らずに民間の医療保険に入ってしまう方は意外に多いです。

2.1.3.傷病手当金

サラリーマンや公務員であれば、病気や怪我で会社へ行けず給料が支払われない、または給料が下がった場合に、その間の所得を補償してくれる制度です。だいたい給料の2/3の額を日割で受け取ることができます。
従って、病気や怪我で働けなくなったとしてもすぐに収入が途絶えるということはありません。

ただし、自営業者や個人事業主などは対象外となります。

2.3.毎月の保険料を貯蓄などに回した方がよい

上記の制度もあり、日本の社会保険制度から言って医療費の負担が高額になる場合は少なく、またサラリーマンは長期間仕事を休んだ場合でも急に収入がゼロになることはありません。

民間医療保険に加入すれば、毎月いくらかの保険料を支払うことになります。
また、月々の保険料が高額でなくても、長期的に見れば大きな額になります。

その分の保険料を貯蓄などに回せば、その貯金でいざというときの医療費は十分対応できると考えられます。

2.4.医療費でカバーできる範囲は意外に狭い

今の医療保険は入院の際にかかる費用と手術にかかる費用が主な保障です。
つまり、入院や手術を伴わない通院の場合、医療費がいくらかかっても保険金は支払われまないことになります。

最近は医療も進歩しており、ガンにかかったとしても入院も手術もせず、通院しながら放射線治療や化学療法(抗がん剤治療・ホルモン剤治療)を受けることが多くなっています。

こういう場合、医療保険のみではカバーできず通院特約などを付しておかなければ対応できないことになります。


3.医療保険が不要な人と必要な人

例えば、サラリーマンなど高額療養費制度や傷病手当金などの保障がありますので、ある程度は保障されます。
また、安定収入があり急に10~20万円くらいの医療費が必要になったとしても困らない程度の貯蓄があれば医療保険は不要でしょう。

逆に、自営業や個人事業主の方は、入院中の収入補償にあたる傷病手当金を受け取れないため、病気療養が長期にわたる場合など家計は大きな打撃を受けることになります。
この場合でも貯蓄が十分あればよいのですが、そうでなければ医療保険、少なくとも所得補償保険は検討する余地はあるでしょう。

4.まとめ

医療保険が必要か不要かは、その人の経済状況や考え方、人生観によるところが大きいです。全ての人にとって必要というわけではなく、加入した方が良い人も不要な人もいます。

日本は公的な医療保険制度が充実しているため、医療費については自己負担額が抑制されています。しかし、全く不要という考え方は極論でしょう。
いつ病気やけがをして入院することになるのかはわかりません。思いがけない出費があって困るという可能性もあります。

自分に医療保険が必要か不要かを判断できるのは、自分だけです。
公的でも民間の医療保険でも必要な分だけ保険に入り、それをうまく活用することが大事です。